刊行にあたって

さいたま市は、平成13年、浦和・大宮・与野の三市が合併して誕生しました。
二年後、政令指定都市となり、平成17年には岩槻市が加わり、いまや人口120万人を超える大都市となりました。
旧市には、それぞれ長い歴史と伝統のある祭りが継承されておりますが、さいたま竜神まつり会は新市の誕生を機に、旧三市にまたがる見沼の竜神伝説をテーマに、市民の祭りとして立ち上げた若い祭りであります。

さいたま市には、見沼区・緑区にかけて「見沼田んぼ」と呼ばれる、首都圏最大の緑地帯が広がっております。
バブル期の乱開発から守りぬかれてきたこの広大な緑地帯は、次の世代に引き継がれなければならない歴史的文化遺産であります。

「見沼田んぼ」は、江戸初期に作られた灌漑用の「溜め井」でしたが、18世紀の半ば、八代将軍吉宗の命を受けた井沢弥惣兵衛為永の手により干拓され、1260ヘクタールの新田に生まれ変わり、いつしか現在の緑地となりました。

さて、この見沼には、さまざまな竜神伝説が残っておりますが、干拓によって棲み家を失った竜神は雲を呼んで天に昇ったとも伝えられていることから、さいたま竜神まつり会のシンボルはこの昇天竜となっています。

私たちはこのたび旧浦和市教育振興会のご支援により、見沼に伝わる竜神伝説や見沼干拓と代用水の掘削、わが国最初の閘門式運河・通船堀など、郷土の歴史について、次代を担う子供さんたちに少しでも多くを学んでいただきたく、この絵本を上梓することといたしました。

この絵本を手にする子供さんたちが、将来、一人でも多く郷土の祭り「さいたま竜神まつり会」の昇天竜を担ってくださるよう願っております。

終わりに貴重な資料をご提供いただいた見沼代用水土地改良区をはじめ、関係者の皆様に心からお礼を申し上げます。

さいたま竜神まつり会会長 吉野重彦

昔の見沼の形は竜神の姿に見えたといわれています

タイトルとURLをコピーしました